(2) 津波と土砂災害の複合災害からの逃げ地図作成の手順

1 ハザードマップの入手 ・津波ハザードマップと土砂災害ハザードマップを入手して、両方の マップを重ね合わせて想定災害区域を明らかにする。

2避難目標地点の設定

・ 避難目標地点は、津波浸水想定区域および土砂災害警戒区域等の外 に位置する地点に設定する。具体的には、津波からの津波避難地点 を設定した後、土砂災害警戒区域等と重なった地点を除く。

・ 地域によっては、上記の設定方法では避難目標地点が数カ所に限定 される場合がある。その場合は、土砂災害警戒区域を現地で点検して、 避難目標地点の設定の可否を任意に判断して、逃げ地図を作成する 方法もある。

3避難障害地点の設定
・ 土砂災害警戒区域等を通過して避難しないように、土砂災害警戒区

域等から避難する場合以外は、当該区域内の道路・通路は、避難障 害地点とする。

・ 地域によっては、上記の設定方法では避難経路を設定できない場合 がある。その場合は、土砂災害警戒区域を現地で点検して、避難障 害地点の設定の可否を任意に判断して、逃げ地図を作成する方法も ある。

4 避難時間の可視化と避難方向の図示

・避難目標地点から逆算し、単位時間ごとに色分けを行う。歩行速度 を 43m /分として色分けを行う。

・一般に夜間の歩行速度は昼間の 80% 程度低下することから、歩行速度を 34m /分として避難時間を可視化する。雨天時の避難速度もあ る程度低減するものと思われる。

5 避難方向の図示

避難目標地点への避難方向に矢印を入れる。逃げ地図自体はあくまで ドライに最短ルートの避難方向を図示する。

(1) 複合災害からの逃げ地図の作成にあたって

・ 東日本大震災は、地震と津波と原発事故が重なった複合災害である。最 近は、札幌市や愛媛県のように、地震と大雨が重なった複合災害を想定 した防災訓練を行う地域も見られる。

・ 複合災害の頻度は低いが、発生した場合のダメージは大きいため、逃げ 地図の作成を通して、リスク・コミュニケーションをとる必要性が高い。