(1) 避難の歩行速度

・高齢者の自由歩行速度は、1.0m/ 秒= 60m/ 分とされるが、身体障がい 者等の歩行困難者の歩行速度は、0.5m/ 秒= 30m/ 分に低下するとされ ている。

・東日本大震災時の津波避難実態調査 1) の結果によると、歩行速度は平均 38m/ 分であった。ちなみにクルマは平均 150m/ 分であった。

・逃げ地図研究プロジェクトチームでは「高齢者・障害者の道路交通計画」2) に基づき、徒歩移動が困難な高齢者を想定して歩行速度を 46m/ 分とし、 さらに山田容三の研究結果 3) に基づき、勾配による歩行速度の低減率を 考慮して、最終的に歩行速度を 43m/ 分とした。

1) 国土交通省、http://www.mlit.go.jp/common/000186474.pdf

2) 秋山哲夫ほか『高齢者の住まいと交通』東京都立大学出版会、2001 年

3) 山田容三「心拍数から見た山林労働者の心拍数 (2):(京都大学和歌山演習林における実験 例)http://ci.nii.ac.jp/naid/120005516062

 

(2) 夜間時などの歩行速度の低減

・夜間時は、昼間に比べて避難の歩行速度が低下する。南海トラフ巨大地 震の被害想定 4) では、夜間の避難速度は昼間の 80% に低下するとして いる。

・雨天時や積雪時を想定する場合は、歩行速度の低下を留意する必要があ る。

4)( 南海トラフ巨大地震対策検討 ワーキンググループ第一次報告、2012 年 8 月

(3) 避難時間の色分け

・避難時間の可視化は、地図に逃げロール(革ひも)をあてながら、避難 目標地点(●)から3分ごとに、緑(3 分以内)・黄緑(3 ~ 6 分)・黄(6 ~ 9 分)・オレンジ(9 ~ 12 分)・赤(12 ~ 15 分)・紫(15 ~ 18 分)・ 茶(18 ~ 21 分)・黒(21 ~ 24 分)の順に色分けする。

・色塗りにあたっては、緑色を全て塗り終えた後に黄緑色を塗る。ある色 を塗り終えた後で次の色を塗ることで、塗り残しや色同士の交点での間 違いをふせぐことができる。

・地震時の避難開始時間は、地震発生から 2 ~ 5 分後とされている。南海 トラフ巨大地震の被害想定では、昼間は地震発災5分後、深夜は 10 分 後に避難を開始するとして試算している。

・災害時要援護者等の避難できる距離や緊急避難場所等までの距離、避難 手段等を考慮すると、避難できる最長距離は 500m 程度が目安となる。 緊急避難場所を増やすなどしてできるだけ赤・茶・青・黒の各色を減ら していく。